「MMoving Forward」多発性骨髄腫(Multiple Myeloma)研究の進歩

多発性骨髄腫(MM)の研究では飛躍的な進歩がみられ、治療選択肢に革新が生まれています1,2。こうした進歩がみられる一方で、多発性骨髄腫は寛解と再燃を繰り返す疾患であるため、患者さんはペイシェントジャーニー(発症・診断や治療を進めていくプロセス)の過程で何度も重大な決定を下す必要が生じます3

私たちは、患者団体や看護師、医師、政策立案者などとともに、治療パラダイムの変革に向けた取り組みを進めています。その取り組みの一環として、世界各地の多発性骨髄腫の専門家が力をあわせ、患者さんの経験とQOL(生活の質)の向上につながる革新的なソリューションの創出を進めるグローバルイニシアチブを立ち上げ、「MMoving Foward」と名づけました。

変化をもたらす方法

私たちは長期的なミッションとして、がんがもたらす負担を減らし、希望を取り戻す一助となることを掲げています。そのため、私たちの研究開発プログラムは、例えば新たな機序や技術を通じて、MM細胞 と闘う免疫系を活性化するなどの方法を用い、再燃や薬剤耐性といった多くの患者さんに共通する課題に取り組んでいます。

患者さんと共にイノベーション創出に取り組む企業として、当社独自のオン・ボディ・デリバリー・システム(OBDS:患者さんの身体に装着できる注射システム) など、患者さんと医療現場の負担軽減に向けた治療法の開発を進めています。

すべてのがんに効く万能薬はありません。このため私たちは、がん患者さんの負担を軽減し、希望を取り戻す一助になるという固い決意のもとに、オンコロジー領域のイノベーションの推進に注力しています。私たちは、研究開発プログラムの加速・拡大につながる機会を常に模索しています。「MMoving Forward」はそうした機会の一つで、コミュニティと共に革新的なソリューションを創出し、患者さんのケアに革新をもたらし、患者体験と長期にわたるQOL改善を目的とする活動です。
Olivier Nataf

Olivier Nataf

オンコロジー領域グローバルヘッド

イノベーションを生み出すには協力が不可欠です。私たちは、世界屈指のがん研究所や業界トップの専門家との連携を進めています。「MMoving Forward」では、次の支援活動を行っています。

患者さんのアンメットニーズ

多発性骨髄腫は長期にわたる慢性疾患であるという理解を促進し、患者さんのアンメットニーズにより良い形で応える活動を支えます。

現在実施中の支援活動

サノフィでは、「MMoving Forward」の一環として多発性骨髄腫の患者さんや医療従事者の方々と共に次の活動を進めています。

新たに多発性骨髄腫と診断された患者さんがケアパスウェイ(診断や治療における一連の過程)で直面する課題やハードルの調査

多発性骨髄腫の患者さんのケアジャーニーを支え、医療の場での患者体験の向上のために看護師が果たせる役割の検討

これらのプロジェクトでは、医療における患者体験の向上とQOL全体の改善につながるソリューションの創出のために、患者さんと医療従事者を含めたコミュニティが、政策立案者や意思決定者と関わりながら活用できる支援ツールを作成する予定です。

MMoving Forwardアライアンス

MMoving Forwardアライアンスとは、主な患者団体の代表、医療従事者、アカデミアをはじめとする多発性骨髄腫のケアの専門家からなるマルチステークホルダープラットフォームです。MMoving Forwardイニシアチブにおけるコミュニティとの連携は、このプラットフォームを中心として進めています。

アライアンスのメンバー

Yelak Biru

国際骨髄腫財団プレジデント

Sophie Castell

医師。Myeloma UK Chief Executive Officer (CEO)

Katie Joyner

Myeloma Patients Europe(MPE)Co-Chief Executive Officer(Co-CEO)

Diane Loening-Martens

緩和ケア専門看護師。Myeloma Patients Europe (MPE)バイスプレジデント

Stephanie Malartre

レオンベラールセンター(フランス・リオン)血液腫瘍科、高度実践看護師

Mohamad Mohty

ソルボンヌ大学 聖アントワーヌ病院(フランス・パリ)血液学教授、血液内科・細胞療法科部長

Phillipe Moreau

臨床血液専門医。ナント大学病院(フランス)血液内科部長。International Myeloma Society(国際骨髄腫学会)プレジデント

Johan de Munter

がん・血液疾患専門看護師。European Oncology Nursing Society(EONS、欧州がん看護学会)元プレジデント。 Belgian Hematology Society看護部会委員

Pellegrino Musto

血液学・腫瘍内科専門医。バーリ大学(イタリア)プレシジョンメディシン・再生医療部長

Paula Rodriguez

血液学・血液療法専門医。ナバラ大学(スペイン)臨床試験中央ユニットを統括

Maite San Miguel

看護師。ナバラ大学(スペイン)において血液疾患臨床試験のコーディネーターとして活動

John Weinman

キングス・カレッジ・ロンドンの精神医学・心理学・神経科学研究所 医療心理学教授

サノフィの連携における基本理念

参考文献

  1. B Puertas, V González-Calle, E Sobejano-Fuertes, et al. Novel Agents as Main Drivers for Continued Improvement in Survival in Multiple Myeloma. Cancers (Basel). 2023 Mar 2;15(5):1558. doi: 10.3390/cancers15051558.
  2. J-A Hernández-Rivas, R Ríos-Tamayo, C Encinas, et al. The changing landscape of relapsed and/or refractory multiple myeloma (MM): fundamentals and controversies. Biomark Res. 2022 Jan 9;10(1):1. doi: 10.1186/s40364-021-00344-2.
  3. U-H Mellqvist, H T Steinmetz, A Perrot, et al. Patient Confidence and Information Preferences During the Treatment Decision-making Process: Results From a Large Multiple Myeloma Patient Survey Across 12 Countries in Europe and Israel. Clinical Lymphoma Myeloma and Leukemia  2023 May;23(5):e240-e251.e12. doi: 10.1016/j.clml.2023.02.010.