バリアを取り去り、よりインクルーシブな明日を共につくる

バリアを取り去り、よりインクルーシブな明日を共につくる

治験における多様性

*治験(臨床試験)における多様性の確保は世界的な課題の一つです。 サノフィでは、開発品の対象群を適切に反映するために、性別や年齢、能力、人種・民族、性的マイノリティ、地域、社会経済的地位などの多様性を組み込む(インクルージョンする)ことを目指しています。

私たちのミッションとビジョン

ミッション:私たちの医薬品やワクチンが最も貢献できるであろう方々を適切に反映した患者さん・治験参加者を対象とする、インクルーシブな治験*を設計します。

ビジョン:私たちは、インクルーシブであることが治験の設計における最優先事項となる未来を想い描いています。私たちは、治験への参加を希望する全ての人々に公平な機会を提供したいと考えています。
 

治験におけるDE&I(ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン)の重要性

治験における多様性(ダイバーシティ)は、健康の公平性を推進し、さまざまな参加者・患者集団における医薬品の効果を検証する上できわめて重要です。しかしながら、米国食品医薬品局(FDA)の2022年のレポートによれば、米国で新たに承認された37種類の新規医薬品のうち多くの品目では、承認の根拠としたピボタル試験(医薬品の有効性や安全性を確認する上で重要な試験)の参加者の大部分が白人で占められ、次に多いのがアジア系と黒人で、ヒスパニック系の参加者は人口比より少ない傾向にありました1)

治験における多様性とは、治験参加者が、その地域の疾病パターンや特徴を反映していることを意味します。

治験における多様性の確保は世界的な課題の一つで、性別、年齢、能力、人種・民族、性的マイノリティ、地域、社会経済的地位など、さまざまな要素における多様性の確保が必要です。サノフィは、この課題の解決に向け、各国・地域の状況に沿って戦略を策定しています。

戦略の6つの柱

人々が治験への参加をためらう理由は、医療システムに対する不信感、先入観、治験情報へのアクセス不足、金銭的・時間的な制約や恐怖心などさまざまです。社会経済的地位などの構造的なハードルや、治験に参加するための基準、無意識の偏見がもたらす影響なども、治験参加を難しくする原因となる場合があります。こうしたハードルを取り除くべく、私たちは戦略に6つの柱を設け、各地域のニーズにあわせたローカルソリューションを作っています。

  • 認知度向上とエンゲージメント(関与)の促進:地域団体やパートナーシップ、専門家などとともに、社内外でのエンゲージメント戦略を進めます
  • インクルーシブな治験計画:データや人工知能(AI)、機械学習を活用し、多様性を考慮した治験計画を策定します
  • 治験実施医療機関と治験責任医師の選定:より多様な参加者・患者層に対応できるよう、治験を実施する医療機関と治験を担当する医師の選定方針を確立します
  • 参加者・患者さんと医療機関への支援:被験者や治験実施医療機関が直面するハードルを最小限に抑えるための支援を提供します
  • トレーニング:健康の公平性(医療格差の解決)、治験における多様性と包括性に焦点をあてた社内および社外向けのトレーニングを行います
  • 評価:実績や指標について継続的な評価を行います
     

グローバル目標

100%

サノフィにおける全ての治験を、インクルーシブな治験デザインで実施します

100%

サノフィにおける全ての治験において、治験参加者・患者さんの見識や思いを反映しながら実施します

私たちのインパクト

インクルーシブなケアをめざして

サノフィは、そのDNAにDE&I(ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン)を取り入れてきました。DE&Iは、多様性に配慮したケアを目指す私たちのアプローチの中心となる価値観です。サノフィは、臨床研究エコシステムに関わる全ての方々が治験参加者との対話方法と、患者さんの経験や健康に及ぼす影響について考えていただくことを目的として、Cultural Sensitivity Video Series(治験における多様性をテーマとしたシリーズ動画)を作成しました。以下のストーリーでは、医療従事者や、患者さんに関わる全ての人々が気づき、心に留めおいていただきたい無意識の偏見や先入観について当事者の方々に語っていただいています。ぜひご覧ください。

インクルーシブなケアをめざして②

治験の公平性を目指した取り組み「Reflections」

集団に占める割合が人口比より低い(アンダーレプレゼンテッド)コミュニティに属する人々が、治験参加者として占める割合が低いことはあまり知られていません。私たちは、そうした方々が、主な治験参加者の構成を見て、自分たちを代表する参加者がわずかしかいないこと、そして、そうした参加者が限られていることでご自身のコミュニティにおける有効性や安全性が検証されていない医薬品やワクチンが開発されてしまう原因となりうることを理解していただきたいと願っています。
Reflectionsでは、 アンダーレプレゼンテッド・コミュニティと協働し、この問題への関心や認知を高め、健康の公平性を高めるための活動へコミットメントを示し、治験への参加を阻むハードルを下げる活動を進めています。

サノフィは、30人を越える患者支援の専門家や、医薬品開発企業、患者団体、治験実施施設、地域パートナー、コミュニケーション専門家からなる、市民活動などを推進する団体を共同設立し、共同代表を務めています。この団体は、治験の多様性向上に向けた持続可能なソリューションの創出を目標とする長期的なプログラムを策定しています。アトランタはサノフィが協働した初の地域パートナーです。アートと啓発活動を組みあわせたアトランタでの取り組みは、コミュニティ内で多様性の重要性について話し合う機会を創出し、人々が臨床研究を見つけ、参加しやすくなる、一元型のプラットフォームを提供しました。この活動で得られた知見は、今後のプログラムのさらなる拡大に役立つと期待されています。

Beacon of Hope 年次大会 (2023年)

Beacon of Hope

Beacon of Hopeは、健康の公平性を高めるために効果的で測定可能なソリューションを共に創出することを目標とする取り組みです。私たちは、地域に根ざす医療機関との連携モデルの再構築を進めており、治験を開始するはるか以前から早期投資を行い、アクセスを阻む障壁に対する活動に力を入れています。この取り組みでは、医療機関のリソースや技術、インフラに投資し、研究を実施しやすい環境を整えていただくことを目的にしています。私たちは、Beacon of Hopeで協働するパートナーとして、モアハウス医科大学とメハリー医科大学、ハワード大学医学部に治験の中核的研究拠点の開設を進めています。

関連するプレスリリースは、こちらからご覧ください。

サノフィ、治験の多様性向上に向け、ハワード大学医学部とメハリー医科大学、モハアウス医科大学に1800万ドルを提供
 

 

RE@DI

サノフィは現在、官民共同の学際的なマルチステークホルダー・パートナーシップであるRE@DI(Research Europe & Diversity Inclusion)のメンバー企業として、治験の計画・実施や、十分なサービスを受けていないアンダーレプレゼンテッドな人々に対するエンゲージメント戦略、デジタルプラットフォームの開発、研修・能力構築プログラム、効果的な情報伝達における専門知識を生かし、持続的なシステムを整え、多様な参加者・患者集団がアクセスできる治験とするための活動を欧州で進めています。

サノフィのコミュニティ・アライアンス・ネットワーク

サノフィのコミュニティ・アライアンス・ネットワークは、治験実施施設や、地域コミュニティ、信頼できるメッセンジャー、医学専門家(KOL)、ベンダーで構成されるグループです。このグループはサノフィと連携し、コミュニティとの直接の関与を通じて治験の啓発と教育を進め、 サノフィの治験に多様な方々に参加いただき、治験参加者の多様性を高める活動を行っています。

コミュニティとの効果的な協働が実現すれば、治験の参加者・患者さんの登録が速やかに進み、治験実施施設の実績が向上し、多様な参加者・患者集団を治験で評価できるようになります。治験依頼者、治験実施施設、患者さんやコミュニティに対して明確な目的意識を持ったアプローチを総合的に行うことで、治験実施施設や、十分な医療が届いていないコミュニティに対して必要な支援を提供することに繋がり、社会と患者さんのニーズを満たすことができます。

患者さんのストーリー

BBC StoryWorks Commercial ProductionsがTriNetxに向けて作成した動画では、医師であり、サノフィで治験D&I担当グローバルヘッドを務めるMonique Adamsが、インクルーシブな治験を設計する重要性と、サノフィが進めているテクノロジーとデータの活用方法について語っています。

私たちはグローバル企業として課題を検討し、各国の状況にあわせて実働に移しています。治験実施施設と治験参加者・患者さんからの声に積極的に耳を傾け、テクノロジーの限界を押し広げ、私たちの全ての活動の透明性を確保しつつ、ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョンの目標達成に向かって前進します。
Monique Adams

Monique Adams

治験D&I担当グローバルヘッド、医師

関連情報

治験について

実施中の臨床試験

サノフィのCMO Dietmar Bergerのインタビュー

参考文献

1)US Food & Drug Administration, Center for Drug Evaluation and Research. 
   Drug Trials Snapshots Report 2022